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最新版!無効にならない自筆証書遺言を作成するための7つの作成手順

最新版!無効にならない自筆証書遺言を作成するための7つの作成手順

「自分で作成できると聞いて、自筆証書遺言を作成してみたいけど、無効にならないか心配・・・」

 

とお考えではありませんか?

 

自身の希望を託すためにせっかく遺言書を書いたのに無効になってしまっては大変ですよね。

 

このページでは、遺言書に関して、終活関連団体で毎月セミナーを行い、年間100件以上の相談に対応している司法書士事務所が、「自筆証書遺言とは何か?」といった基本的なことや、「無効にならない書き方」、「ひな形(見本)」、「民法改正のポイント」、「検認手続きの流れ」をご案内します。

  

「無効にならない、遺族で揉めない遺言書を作成したい」とお考えでしたら、ぜひ参考にしてみてくださいね。

目次

  1. 改正により要件が緩和されて利用しやすくなった自筆証書遺言とは?
  2. 無効にならない自筆証書遺言の書き方 7つの手順(ひな形付)
  3. 財産目録はパソコンで作成OK?法務局での保管制度開始?自筆証書遺言の2つの改正
  4. 自筆証書遺言の検認手続きの4STEP
  5. 有効かつ遺族間で揉めない自筆証書遺言を作成するなら専門家に依頼
  6. 自筆証書遺言のまとめ

1.改正により要件が緩和されて利用しやすくなった自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、その名の通り自分の手で書く遺言書のことです。

 

自筆証書遺言は遺言書と財産目録で一式の書類です。

 

つい最近まではどちらも手書きの必要がありましたが、平成31年1月13日より、財産目録はパソコン等の作成でOKになりました。

 

また、2020年7月より法務局での保管制度が始まりますので、紛失や改ざん等のトラブルを未然に防ぐことができるようになります。

 

詳しくは、「3.財産目録はパソコンで作成OK?法務局での保管制度開始?自筆証書遺言の2つの改正」でご案内しますね。

 

ちなみに“遺言”の読み方ですが、一般的に馴染みがあるのは“ゆいごん”ですよね。

 

しかし、法律上では“いごん”と読みます。

 

“ゆいごん”でも間違いではないので、豆知識程度に覚えておいてくださいね。

2.無効にならない自筆証書遺言の書き方 7つの手順(ひな形付)

自筆証書遺言

自筆証書遺言は簡単に作成できますが、書き方を誤ると無効になってしまう可能性があります。

 

もし遺言書が無効になると、遺産分割協議をしなければなりません

 

遺産分割協議とは、相続人同士で遺産をどう分けるかを話し合う手続きのことです。

 

この手続きは、相続人が全員集まる必要がありますので、膨大な手間や時間が必要です。

 

しかも協議次第では、相続争いまで発展してしまうことがあります。

 

このように、遺言書が無効になると、財産をめぐる手続きがとても複雑になってしまうことは覚えておいてくださいね。

 

それでは、無効にならない自筆証書遺言の書き方を7つの手順でご案内します。

 

  • 【手順①】7つの要件を把握する
  • 【手順②】誰に何を相続させるかを記載する
  • 【手順③】財産の渡し漏れがないように一文を記載する
  • 【手順④】遺言執行者を指定する
  • 【手順⑤】作成年月日・住所・氏名を記載して、押印する
  • 【手順⑥】財産目録を作成する
  • 【手順⑦】封筒に入れて、封印する

【手順①】7つの要件を把握する

まずは以下の7つの要件を把握しておいてください。

 

  • ボールペンなどの消えないペンで書く
  • 明確な日付の記載をいれる
  • 遺言者の署名と押印が必要である
  • 相続人を具体的に指定する
  • 遺言書が複数枚になる場合、契印する
  • 作成した遺言書は封筒に入れて、封印する
  • 訂正する場合、4つの要件を満たす必要がある

 

それぞれ詳しくご案内しますね。

要件①:ボールペンなどの消えないペンで書く

ボールペンなどの消えないペンを使って、自筆でしっかりと書きます。

 

なぜなら鉛筆や消せるペンだと第三者に改ざんされてしまう可能性があるためです。

 

パソコン(ワープロ)や代筆による記載は無効になってしまいますのでご注意ください。

 

「ほんの一部くらいならパソコンや代筆でも問題ないのでは?」と思われたかもしれませんが、たとえほんの一部であってもパソコンや代筆による記載は認められていません

 

ただし、先程もご案内しましたが、財産目録に関してはパソコン(ワープロ)で作成することが可能になりました。

 

詳しくは、「3.財産目録はパソコンで作成OK?法務局での保管制度開始?自筆証書遺言の2つの改正」でご案内します。

要件②:明確な日付の記載を入れる

遺言書がいつ書かれたものか、明確な日付を書きます。

 

いつ書き上げたか特定できないと、その時点で無効になってしまいます。

 

また、「○年○月吉日」といった記載も、日付が特定できないため無効です。

 

「令和元年10月1日」や「2019年10月1日」といったように、正確に書いてくださいね。

要件③:遺言者の署名と押印が必要である

遺言書内に署名と押印をしてください。

 

署名は基本的に現在戸籍通りの氏名を書きます。

 

第三者から見て判断できれば、旧姓やニックネーム、芸名、ペンネームなどでも問題ないとされていますが、トラブルを避けるために戸籍通りに書きましょう。

 

また、押印に使用する印鑑は認印でも有効ですが、自分で押印した確証を得るためにも実印をおすすめします。

要件④:相続人を具体的に指定する

誰を相続人にするかを具体的に書きます。

 

後に第三者から見て、その人物が特定できるように正確に書きましょう。

 

自分にしかわからない呼び方やニックネームは避けてください。

 


<例:遺言者Aの長男の一郎さん(Aにしかわからない愛称:ブーちゃん)に300万円を相続したい場合>

×間違った例
A「ブーちゃんに私の財産のうち300万円を相続させる」
 
ブーちゃんが第三者から見て誰かわからないのでNG
 
〇正しい例
A「長男、太郎に私の財産のうち300万円を相続させる」

 

要件⑤:遺言書が複数枚になる場合、契印する

遺言書が複数枚になった場合、ホチキスなどで留めて、要件③の署名と押印で使用したものと同じ印鑑で契印をしてください。

 

契印は、すべてのページの見開きの部分に、両ページにまたがるように押印します。

要件⑥:作成した遺言書は封筒に入れて、封印する

第三者による偽造や改ざん、無断破棄を避けるために、作成した遺言書を封筒に入れて封印をします。

 

書き上げた自筆証書遺言を封筒に入れて、のり付けし、封じ目に押印してください。

 

封じ目の押印は、要件③の署名と押印で使用した印鑑を使用してくださいね。

 

また今は、自筆証書遺言は自分で保管する必要がありますが、民法改正により法務局で保管してもらえるようになります。

 

法務局での保管については、「【改正②】法務局で保管してもらえるようになる(2020年7月10日開始)」で詳しくご案内しますね。

要件⑦:訂正する場合、4つの要件を満たす必要がある

「やっぱり気が変わったので、遺言書の内容を訂正したい」

 

「遺言書を完成させたけど、間違いがあったので訂正したい…」

 

このように訂正したいときもありますよね。

 

ただし、修正液で消して上から書く、二重線で消して書き加える、といった方法はNGです。

 

訂正する場合には、決められた方法でなければ無効になってしまいますので、ご注意ください。

 

詳しくは、「【番外編】訂正する場合、4つの要件を満たす必要がある」でご案内しますね。

【手順②】誰に何を相続させるかを記載する

自筆証書遺言(誰に何を相続させるかを記載する)

「【手順①】7つの要件を把握する」でも挙げましたが、相続人は第三者にわかるように具体的に指定する必要があります。

 

上の画像のように、あなたとの関係、生年月日を記載して、相続人であることを具体的にしておいてくださいね。

 

 

ココで注意しなければならないのが、財産を渡したい人が、推定相続人か推定相続人以外かで遺言の文言が異なるということです。

 

推定相続人とは、将来最優先で遺産相続を受けることが予想される人を指します。

 

たとえば、ご自身が亡くなった後、つまり相続が開始された時に、旦那さん(奥さん)と子どもが相続を受けることは予想できますよね。

 

このように「この人が相続を受けるだろうな」と予想ができる人を推定相続人といいます。

 

推定相続人に財産を譲ることを遺言に書く時は“相続”、推定相続人以外には“遺贈”と書きます。

 


<長男(推定相続人)に遺産相続させる場合>
「私の財産のうち●●を長男○○に相続させる。」
 
※長男は推定相続人ですので、“相続”する。
 
<孫(推定相続人以外)に遺産相続させる場合>
「私の財産のうち●●を孫△△に遺贈する。」
 
※孫は推定相続人ではありませんので、“遺贈”する。

 

 

「どうしてこんな書き分け方をしないといけないの?」

 

と疑問に思われた方もいらっしゃいますよね。

 

実は、推定相続人に財産を譲りたい時でも、遺贈すると書くこと自体はNGではありません

 

相続登記をおこなう際の手続きに違いが生じるのです。

 

相続登記とは、土地や建物などの不動産が相続された時に、所有権を移転する法的な手続きの事です。

 

もし“相続する”と書かれていた場合は、推定相続人が単独で相続登記の申請を行うことができます。

 

しかし、”遺贈する”と書かれていた場合は、相続人全員で相続登記の申請をしなければならず、非常に手間がかかります

 

“相続する”、“遺贈する”という書き方ひとつで手続きに大きく違いが生じるので気をつけてくださいね。

 

【手順③】財産の渡し漏れがないように一文を記載する

自筆証書遺言(財産の渡し漏れがないように一文を記載する)

財産の渡し漏れがないように、遺言書内に「別紙財産目録に記載なき財産については、〇〇(相続させたい人)に相続させる」という一文を付け加えておきましょう。

 

自分ではすべて把握しているつもりでも、財産を多く持っていればいるほど、見落としている財産があるものです。

 

実際に「自分では、遺言書にすべての財産を書いたつもりでも、後で調べたら別の財産が見つかった!」といったケースは多々あります。

 

もし「別紙財産目録に記載なき財産については、誰々(相続させたい人)に相続させる」という一文がなく、財産の渡し漏れが生じてしまった場合、相続人全員で遺産分割協議をおこなう必要があります。

 

遺産分割協議については先程もご案内した通りで、相続人全員を集める手間や、協議をおこなうための時間がかかります

 

また意見がまとまらないと相続人同士のトラブルにも繋がりかねませんので、この一文はお忘れなく。

【手順④】遺言執行者を指定する

自筆証書遺言(遺言執行者を指定する)

必須ではありませんが、遺言執行者(いごんしっこうしゃ)を指定しておくとスムーズに手続きできます。

 

遺言書に書かれた内容は、自身の死後に自ら実現させることはできませんよね。

 

そのため、誰に実現してもらうかをあらかじめ決めておくのです。

 

この遺言書に書かれた内容を実現する人を、遺言執行者といいます。

【手順⑤】作成年月日・住所・氏名を記載して、押印する

自筆証書遺言(作成年月日・住所・氏名を記載して、押印する)

遺言書を書き終えましたら、作成年月日・住所・氏名を記載して押印します。

 

先程もご案内しましたが、作成年月日は「令和元年10月1日」や「2019年10月1日」といったように、氏名は現在の戸籍通りに書いてください。

 

住所は、必ずしも書く必要はありませんが、書いた人を特定するためにも記載した方が無難です。

 

押印は、認印でもかまいませんが、自分で押印した確証を得るためにも実印をおすすめします。

 

また、実印の印鑑登録証明書を同封しておくとさらに確実です。

【手順⑥】財産目録を作成する

財産目録とは、自分の所持している財産を種類ごとにリストアップし、金額とともに一覧表にしたものです。

 

先程もご案内しましたが、財産目録はパソコン(ワープロ)で作成OKです。

 

また、遺言者以外の人が作成してもかまいません

 

財産目録の作り方は以下の2パターンです。

 

  • パターン①:財産の一覧表を作成する
  • パターン②:財産を証明するコピーを添付する

 

パターン②は、コピーを添付するだけで済むので、財産の種類が少ない場合には有効です。

 

しかし、財産が多いと財産の分だけコピーの添付が必要なので、管理が大変で、紛失するリスクもあります。

 

上記の理由で、パターン①の方が確実です。

 

当事務所にご依頼いただいた場合でも、パターン①で作成しております。

 

ご自身にあった方法で作成してくださいね。

 

それでは、それぞれのパターンについて詳しくご案内します。

パターン①:財産の一覧表を作成する

財産目録

上記の見本をご覧の通り、財産は不動産、預貯金、株式の3種類に分けられます。

 

不動産は、土地と建物に分けられ、それぞれ書く項目も異なります。

 

ココに書く項目ですが、法務局で取得できる全部事項証明書(以下、登記簿謄本)の記載通りに転記してください。

 

<土地>

 

全部事項証明書(土地)

 

赤丸を付けた所在、地番、地目、地積を転記してください。

 

 

<建物>

全部事項証明書(建物)

 

上記と同様に、赤丸を付けた所在、家屋番号、種類、構造、床面積を転記。

 

 

ちなみに登記簿謄本は、全国どこの法務局でも取り寄せられますので、最寄りの法務局窓口に行ってみてください。

 

法務局へ行くのが難しい場合は、郵送でも請求することができますので、詳しくは、法務局のホームページをご覧くださいね。

 

 

財産に預貯金がある場合は、銀行名・支店名・預金の種類・口座番号を記載します。

 

「残高は記載しなくていいの?」

 

と思われた方もいらっしゃるでしょうが、残高は入出金をしない場合でも、金利がついて変動してしまうので、記載する必要はありません。

 

 

財産に株式がある場合は、所有している株式の会社名・持ち株数を記載します。

 

 

最後に、忘れがちですが、署名と押印をしてください。

署名は必ず自筆で書くようにご注意くださいね。

 

なぜなら、自筆でなくて良いとされているのは財産目録だけに限られるからです。

 

署名をパソコン(ワープロ)で書いてしまうと、せっかく作った財産目録が無効になることがありますのでご注意ください。

【パターン②】財産を証明するコピーを添付する

登記簿謄本・通帳コピー

例えば、財産に不動産がある場合には登記簿謄本、預貯金がある場合には通帳のコピーを添付すればOKです。

 

また、コピーを添付する時は、財産目録1、財産目録2・・・と番号を割り振り、自分の署名と押印を忘れずに記載してくださいね。

 

左上に財産目録1、2と番号を割り振っておくと、以下のように相続する財産を指定しやすくなります。

 


<“財産目録1”を相続させたい場合>
「私は、私の所有する別紙 財産目録1を長男××(昭和△年△月△日生)に相続させる」
<“財産目録2”を相続させたい場合>
「私は、私の所有する別紙 財産目録2を次男××(昭和△年△月△日生)に相続させる」

【手順⑦】封筒に入れて、封印する

自筆証書遺言(封筒)

最後に、封筒に入れて封印します。

 

 

封筒の表面には「遺言書」と記載し、裏面には作成年月日、署名、押印して封印します。

 

また「開封せずに必ず家庭裁判所の検認を受ける事」といった文言を必ず書くようにしてください。

 

なぜなら、自筆証書遺言は、開封する前に家庭裁判所の検認手続きを受ける必要があるためです。

 

文言がないと、検認手続きが必要とは知らずに、ご遺族の方が開封してしまう可能性がありますよね。

 

検認手続きの前に自筆証書遺言を開封してしまうと、5万円の過料(罰金)がかかってしまいます。

 

検認手続きについては、「4.自筆証書遺言の検認手続きの4STEP」で詳しく説明しますね。

 

【番外編】訂正する場合、4つの要件を満たす必要がある

民法第968条では、自筆証書遺言の訂正について以下の定めがあります。

 


自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。(民法第968条より抜粋)

 

このように、自筆証書遺言の訂正には、民法で厳格なルールが定められています。

 

ルールに反してしまうと、訂正した内容が否定されてしまいます。

 

訂正された内容が否定されないためにも、以下の4つの要件を満たすようにしてくださいね。

 

  • 遺言者自身が訂正する
  • 訂正した箇所に押印する
  • 訂正箇所を指示して、訂正したことを付記する
  • 訂正を付記した部分に署名する

 

 

これらの要件を満たすと下図のような遺言書が出来上がります。

 

自筆証書遺言(訂正版)

3.財産目録はパソコンで作成OK?法務局での保管制度開始?自筆証書遺言の2つの改正

「1.改正により要件が緩和されて利用しやすくなった自筆証書遺言とは?」でもご案内しましたが、自筆証書遺言は以下の2つの改正がありました。

 

  • 財産目録をパソコン(ワープロ)で作成できるようになった
  • 自筆証書遺言が法務局で保管してもらえる(2020年7月10日開始)

 

では、この2つの改正について詳しくご案内しますね。

【改正①】財産目録をパソコン(ワープロ)で作成できるようになった

パソコン入力

平成31年1月13日に施行された民法改正により、自筆証書遺言の方式が緩和され、財産目録を手書きで作る必要がなくなりました

 

法務省のホームページでも財産目録の形式の質問に対して、以下のように回答されております。

 


Q3 財産目録の形式に決まりはありますか?

 

A3 目録の形式については,署名押印のほかには特段の定めはありません。したがって,書式は自由で,遺言者本人がパソコン等で作成してもよいですし,遺言者以外の人が作成することもできます。また,例えば,土地について登記事項証明書を財産目録として添付することや,預貯金について通帳の写しを添付することもできます。


 

つまり、パソコン(ワープロ)で作成してもOKですし、遺言者以外の人に代わりに作成してもらってもOKだということです。

 

改正前は、複数の不動産や株式などの財産をお持ちの方は、膨大な量の財産目録を手書きで作成しなければならなかったので、今回の改正でとても使いやすくなりました。

 

ただし、パソコンで財産目録を作成する場合、必ず遺言書とは別紙で作成するようにしてください。

 

なぜなら、遺言書はこれまで通りに自筆で作成する必要があり、同じ用紙に財産目録を書く場合は、すべて自筆で作成しなければならないためです。

 

また、「【手順⑥】財産目録を作成する」でもご案内しましたが、この改正により、登記簿謄本や預金通帳のコピーを添付することで、財産目録の代わりとすることができるようになりました。

 

詳しい作成手順については、「パターン②:財産を証明するコピーを添付する」をもう一度確認してみてくださいね。

【改正②】法務局で保管してもらえるようになる(令和2年7月10日より開始)

令和2年7月10日より、法務局で自筆証書遺言を保管してもらえるようになります。

 

法務局で保管してもらえば、遺言書の紛失や改ざん、盗難といったリスクを回避でき、検認手続きが不要になります。

 

検認とは、遺言書を開封する前に裁判所で行う手続きのことです。

 

検認については、「4.自筆証書遺言の検認手続きの4STEP」で詳しく説明しますね。

これらのメリットと引き換えに、法務局に自筆証書遺言を預ける場合は、保管手数料がかかります

 

具体的な金額はまだ公表されていませんので、また追記します。

4.自筆証書遺言の検認手続きの4STEP

遺言者が亡くなり、自筆証書遺言を開封する時は検認手続きが必要です。

 

検認とは、遺言書の形状、加除訂正の有無、日付、署名といった、検認した日の遺言書の状態を詳細に確認し、偽造や改ざんを防ぐための重要な手続きです。

 

もし検認する前に遺言書を開封してしまうと、5万円の過料(罰金)を支払わなければならず、他の相続人から偽造や改ざんを疑われるリスクがあります。

 

封がされていない場合でも、検認が必要ですので勝手に中身を見ないようにしてくださいね。

 

検認手続きですが、遺言書を保管していた人が遺言者自身であったか、保管者が指定されていたかで、検認申請のタイミングと申請者が異なります。

 

遺言書を遺言者自身が保管していた場合は、遺言書を発見したタイミングで、発見した相続人が検認の申立てを行います。

 

遺言書の保管者が指定されていた場合は、遺言者が亡くなったタイミングで、保管者が検認の申立てを行います。

 

それでは、実際の検認手続きの流れを以下の4つのSTEPでご案内しますね。

 

  • 【STEP①】3つの書類を用意する
  • 【STEP②】家庭裁判所に申立てる
  • 【STEP③】検認期日の通知を受ける
  • 【STEP④】検認を実施する

【STEP①】3つの書類を用意する

まずは、以下の3つの書類を用意してください。

 

  • 検認申立書
  • 遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本

 

それぞれの書類について詳しくご案内します。

必要書類①:検認申立書

当事務所ではわかりやすいように検認申立書と呼んでいますが、正確には事件名を“遺言書の検認”とした家庭審判申立書のことです。

 

この申立書の書式は、裁判所のホームページでダウンロードできます。

 

申立書の書き方については、基本的には裁判所で公開されている記入例を参考にしていただけば問題ないかと思いますので、わかりづらい箇所のみ当事務所で補足させていただきますね。

 

<裁判所の申立書の記入例>

検認申立書(ページ1)
検認申立書(ページ2)

(※1)遺言者が最後に住んでいた場所の市区町村を管轄している家庭裁判所に申立てを行う必要があります。

 

例えば、豊島区の場合であれば、東京地方・家庭裁判所です。

また、地域によっては家庭裁判所の支部が存在することがありますので、その場合は支部が管轄です。

 

日付については、申立書を書いた日で構いません。

 

(※2)申立人は、先程もご案内しましたが、遺言書の保管者がいれば保管者、いなければ遺言書を発見した相続人の名前を記載します。

 

押印は実印と認印のどちらでも構いませんが、シャチハタはNG。

また、この印鑑は、検認を行う日にも使用します。

 

(※3)ココでいう添付書類とは、後程出てくる、「遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本」と「相続人全員の戸籍謄本」のことです。

 

(※4)見落としがちですが、記入例の通り「遺言者」として、遺言者の情報を記入してください。

 

(※5)保管者がいた場合は、記入例をベースしていただけばOKです。もし申立人が遺言書を発見した相続人の場合は、以下のように記入してくださいね。

 


  1. 申立人は、令和●年●月●日に、遺言者の自宅寝室のタンスから遺言書を発見しました。
  2. 遺言者は、令和●年●月●日に死亡しましたので、遺言書(封印されている)の検認を求めます。なお、相続人は別紙の相続人目録のとおりです。

 

(※6)これまでご記入いただいた申立書とは別紙で、相続人目録を用意する必要があります。

 

この書式は裁判所のホームページでダウンロードできます。

 

左の※印には、相続人であれば「相続人」と記入するのですが、もし遺贈を受ける人がわかっている場合、「受贈者」と記入してくださいね。

 

この相続人目録には、すべての相続人の情報(本籍、住所、氏名、生年月日)を記入する必要があります。

 

「すべての相続人ってどうやって判断するの?」

と思われた方もいらっしゃいますよね。

 

ご安心ください。「すべての相続人」は、次項で出てくる遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本を集めることで知ることができます。

 

必要書類②:遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本

見出しにもある通り、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本を取得する必要があります。

 

「え?もしかして1ヶ所で取得できないかもしれないの?」

 

そうなんです。場合によっては複数の市役所・町村役場で取得しなければいけません。

 

というのも、戸籍は転籍や婚姻等を繰り返していると、その分だけ増えていくものなのです。

 

転籍や婚姻等で別の地域に戸籍が移っていると、その時点までしか取得できませんので、転籍前の地域でも取得する必要があります。

 

さらに転籍前の地域でも戸籍が移っていると、またその前の地域で取得する必要があるので、転籍を繰り返している人だと、より手間や時間がかかってしまうのです。

 

もし自分で集める事が困難な時は、専門家へ依頼することで代わりに対応してもらえますので、検討してみてくださいね。

必要書類③:相続人全員の戸籍謄本

相続人の戸籍謄本は、現在の本籍地(現在戸籍)のものを取得してください。

 

委任状があれば、代理で取得することができますが、自身の負担を減らすためにも、各々に取得してもらいましょう。

 

もし「なかなか集まらない」「連絡を取りたくない人がいる」といった場合には、専門家へ依頼すれば、代わりに対応してもらえますよ。

【STEP②】家庭裁判所に申立てる

STEP①の書類が揃いましたら、返信用の切手を同封して管轄の家庭裁判所に郵送(申立て)します。

 

印紙の貼り忘れや、相続人目録に抜けがないかを改めて確認しておいてくださいね。

【STEP③】検認期日の通知を受ける

家庭裁判所に申立てを行った後、家庭裁判所より検認期日(裁判所で検認をおこなう日)の通知が郵送されてきます。

【STEP④】検認を実施する

検認期日には、家庭裁判所で検認を行います。

 

当日は、遺言書と申立人の印鑑(申立書に押印したもの)を持参してください。

 

すべての相続人が立ち会う必要はありませんが、申立人に当たる相続人は立ち会わなければなりません。

 

いよいよ検認手続きですが、申立人の方がすることは特にありません。

 

相続人の前で家庭裁判所の担当者で封筒を開封して、遺言書の検認が行われます。

 

検認が終わりましたら、遺言書に検認済証明書をつけて返却されるのですが、この検認済証明書を発行してもらうために、印紙(150円分)と申立人の印鑑が必要です。

 

こうして、検認手続きが終わって、はじめて相続の手続きに入ることができます。

 

ちなみによく間違えられやすいのですが、検認手続きをしたからといって、遺言者の内容が有効か無効かどうかを判断されるわけではありません。

 

あくまでも、検認手続きは、遺言書が遺言者本人によって書かれたものかを物理的に判断する手続きのことです。

5.有効かつ遺族間で揉めない自筆証書遺言を作成する方法

冷静な話し合い

「良かれと思って書いた内容が、後に遺族を巻き込んだ大きなトラブルに発展してしまった・・・」

 

「形式やルールを全部把握するのは、やはり難しい。」

 

自分で1から自筆証書遺言を作っていただいても結構ですが、形式やルールを正しく把握した上で、有効かつ遺族間で揉めないものを作成するのは大変ですよね。

 

このようなお悩みがある方は、専門家にサポートを依頼することを検討してみてください。

 

以下では自分で対応した場合と専門家に依頼した場合のメリットとデメリットをまとめてみました。

 

  メリット デメリット
自分 ・費用がかからない ・遺言書の形式や内容で無効になる可能性が大きい
・遺族間で揉める遺言書になる可能性が大きい
・亡くなった後に確実に遺言書の内容が実行されるかわからない
専門家 ・有効かつトラブルを回避する遺言書を作成してもらえる ・費用がかかる(専門家によって金額が異なる)

 

自分で作るメリットとしては、やはり費用が掛からないことです。

 

しかし、このメリットに対して、デメリットが重すぎます。

 

形式や内容で誤りがあると無効になってしまったり、書き方によっては遺族間で揉めてしまう内容になったりしてしまいます。

 

専門家に依頼すると、費用はかかってしまいますが、上記に上げたデメリットを回避できます。

 

また形式やルールを自分で覚える必要がなく、内容についてもサポートしてもらえますので、遺言者様もご遺族様も納得する遺言書を残すことができるのです。

 

専門家に依頼する場合は、「サポート内容に対して、いくらまでなら払ってもいいか?」を考えてみた上で検討してみてくださいね。

 

なお、当事務所では、5万円(税別)から、自筆証書遺言の作成支援を承っております。

 

また、グループ会社には、相続税に強い税理士が所属しておりますので、法律的な面だけでなく、税金についてもトータルにサポートさせていただきます。

6.自筆証書遺言のまとめ

自筆証書遺言は、改正により、財産目録をパソコン等で作っても良いことになり、非常に使いやすくなりました。

 

また、法務局の保管制度を利用すれば、紛失や改ざんを未然に防ぐことができ、検認手続きも不要になります。

 

しかし、以下の7つ要件を満たしていないと遺言書が無効になってしまいますのでご注意ください。

 

  • ボールペンなどの消えないペンで書く
  • 明確な日付の記載をいれる
  • 遺言者の署名と押印が必要である
  • 相続人を具体的に指定する
  • 遺言書が複数枚になる場合、契印する
  • 作成した遺言書は封筒に入れて、封印する
  • 訂正する場合、4つの要件を満たす必要がある

 

自分で作成したことにより、無効になってしまうことや、遺族が揉めてしまう内容になっていないかが心配だという方は、専門家に依頼することを検討してみてくださいね。

 

自筆証書遺言は、書き方の形式や内容をしっかりと把握しておく必要がありますが、費用面では、とても優れた遺言書です。